「それでも歩は寄せてくる」を紹介!【人気の将棋ラブコメ】

山本宗一郎さんの「それでも歩は寄せてくる」は週間少年マガジンに連載されている作品です。山本宗一郎さんといえば「からかい上手の高木さん」で一躍、注目を浴びた方ですが、この作品は一味違った面白さを出しており非常に面白い作品です。来年(2022年)にアニメ化が決定していますが、そちらも楽しみです。

からかい上手の高木さんとの違い

からかい上手の高木さんではヒロインの高木さんの方が相手の西方より大人で、完全に負けているというカップルです。それに対し「それでも歩は寄せてくる」のヒロインである八乙女うるしは「普通の女の子」です。

ただ、おじいちゃんから教わっていたために将棋は強く上級者、しかも記憶力が良く「授業聞いているだけで学年トップ3」ですが体育は全然ダメ。体は硬いし背丈は149cmという小柄で、高校2年にしては小さめで、それがコンプレックスになっています。ラブレターをもらったことも無く、デートもした事が無いという恋愛未経験者です。

一方の田中歩はうるしより1歳下の高校1年生。剣道が強く中学生時代は「風林火山の山」と呼ばれるほどの強い選手でした。ですのでスポーツ万能、しかも真面目で律儀で素直過ぎるくらいの性格で将棋と勉強以外は全て、うるしに優っています。

ですので、うるしが困った時は歩が「なんとかしなくちゃ」と言って助けてくれます。つまり高木さんとは正反対の設定になっているのです。そしてヒロインのうるしが高木さんとは違い、まだまだ子供っぽいところが十分にある普通の高校2年生であることが、大きな違いです。

ですので、この漫画で面白いのは、もっぱら「うるしの反応」であり素直過ぎる歩の悪意のない「ほめ殺し」に徹底的にやられてしまう、と言うところが高木さんとは決定的に違う点です。つまり相方である歩は西方と違い「精神的に非常に優れた男性」なのです。

「それでも歩は寄せてくる」が面白い理由

この漫画が面白いのは歩が「将棋で勝ったら告白する」と自分で決めたことが原点になっています。それは第一回で明かされます。

しかし告白しないだけで、歩は、うるしが思いっきり引くほど「ほめ殺し」をかけてきます。「先輩はすごいですね。頭が良くて将棋が強くて可愛くて笑顔が素敵で」という具合です。

恋愛未経験者のうるしには、「どう考えても歩は私のことが好きとしか思えない」のです。しかし、それを聞くと「何のことでしょうか」と言って歩は話をそらしてしまいます。

つまり、うるしには「気配を感じさせるだけで実態が見えない」のです。そのイライラ感が妙に面白く、歩の素直で律儀な性格がそれを自然な行為として納得させてしまうのです。

また脇役陣も面白いキャラクターが揃っています。歩と幼なじみのタケル(風林火山の火と呼ばれた剣道の達人で歩のライバルであった)と、人見知りが異常に激しく決して人と目を合わせて話さない御影桜子の2人は図書委員をしていますが、それはタケルが桜子を好きだからです。

しかし桜子はタケルを好きなのか、そうでないのか良く分かりません。しかし歩がうるしにベタ惚れなことは分かっているので下手すると暴走しがちなタケルを催眠術で操り、歩とうるしの関係が壊れないように影で支えています。

また、うるしのクラスメートであるマキさんも密かに2人を応援しており、出番は少ないですぐが絶妙なタイミングで登場し「何でもあり」の性格を生かし2人を少しでも近づけようと仕掛けてきます。

この漫画は「将棋と勉強以外はまるでダメ」である、うるしと「将棋と勉強以外は全て優秀」である歩という、ちょうど長所と短所がうまい具合に合わさった2人の真面目で律儀で恋愛未経験同士のカップルという設定が面白さを醸し出しているのです。

まとめ

この漫画を読むと、いかに設定とキャラクターが重要かが分かります。

歩の真面目で律儀で素直すぎる性格が無ければ成立しないストーリーであり面白さだからです。そして、うるしが「恋愛未経験の普通の女の子」である事が「ごく普通の反応」をしてしまうことを自然にしています。

しかし感心するのは山本宗一郎さんのアイデアマンぶりです。高木さんもそうですが、よくもまぁ毎回、思いつくなぁと本当に感心してしまいます。まだまだ続く「それでも歩は寄せてくる」ですが、もしかすると「からかい上手の高木さん」と並ぶ「2大代表作品」になるかもしれません。

どちらかというと、こちらの方が自然な感じであり、うるしの「普通の女の子ぶり」が光る作品です。